若者支援としての「通信教育」

2017/12/13

 大学教員生活3年目の私ですが、それまでは大学職員として、主に入試広報・学生募集に17年程、携わってきました。その業務の中で、大学全入時代といわれながらも、なぜ高校生は大学に進学しないのだろうか、という疑問が生じ、社会人学生として通信制大学院へ入学し、その後、博士後期課程へ進み、学位論文としてまとめることとなりました。学位論文では若者の就労問題を分析視角のひとつに取り上げましたが、執筆の過程において、高校、大学にかかわらず、一旦は学校から社会への移行を果たしたものの、離職した者のその後の動向について関心を持つようになりました。離職した若者たちはどこへ行ったのだろうか、離職した者への社会的ケアはどのようになっているのだろうか、これが私の研究関心のひとつであります。
 
つまり、離職した若者を社会へ戻す仕組みづくりです。こうした問題は、自己責任論の中で、個人の問題に帰してしまいがちですが、やはり、若者支援としての教育インフラの整備を進め、「スキルアップ」「学び直し」の場を提供していくことが必要だと感じています。そのひとつの方法として、通信教育、遠隔教育に可能性を見出したい、これが私の入会の動機でございます。もちろん、既に民間企業を中心に、一定の環境はありますし、人によっては「今さらどうなんだろう・・・」という疑問を抱かられることもあるでしょう。しかし、私は、大学教育を軸とした地道な仕組みづくりこそが重要だと考えています。紙幅の都合で詳細は次の機会とさせていただきますが、とくに地方において、その重要性は増していると感じています。
 
このような問題意識を持ちながら、研究活動に邁進していく所存です。まだまだ研究者として未熟ではありますが、今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
                                    (神戸松蔭女子学院大学 長谷川 誠)
                                 (「日本通信教育学会報」通巻49号より)