大学通信教育とリカレント教育

2021/12/23

 近年、リカレント教育が注目されています。「人生100年時代」が到来し、Society5.0社会が実現すると言われるなか、コロナ禍の影響も受けて、リカレント教育へのニーズはますます高まっていくと予測できます。関係省庁が連携して支援を進めていますが、そうした取り組みに欠かせない担い手の一つが、大学通信教育であることは間違いないでしょう。大学通信教育は、これまで培った「生涯教育」のためのノウハウを活かし、多様な働き方、多様なライフステージに応じた教育サービスを提供できる有効な手段です。
 とはいえ、文部科学省の調査によると、9割近い社会人が「学び直し」に興味を持つ一方で、25歳以上の入学率はOECD諸国と比較しても極めて低いのが現状です。原因は様々に考えられますが、この落差をどのように埋めることができるのか、これからの大学通信教育が答えるべき課題と言えるでしょう。
 コロナ禍で進んだ大学のオンライン教育を背景に、「遠隔教育」に対する社会的な認知度はずいぶん高まったと感じています。自学自修を基本とする通信教育は、ICTを活用することで、従来とは異なる教育を実施することができるようになりました。スクーリング科目における、対面授業とオンライン授業を組み合わせたハイブリッド型の授業もその一つです。教育方法の改善だけではなく、社会人が学びやすい環境や制度、プログラムを構築していく必要があるでしょう。通信教育が果たすべき責任はとても大きいと考えます。
帝京平成大学 高浦 一
(「日本通信教育学会報」通巻57号より)