サポート校への新たなまなざし

2013/10/16

 近年、通信制高校卒業生が増加している。『学校基本調査』(文部科学省, 2012)によれば、特に私立通信制高校卒業生の増加傾向が顕著である。さらに同調査は、今や通信制高校に通う生徒のうち約7割が10代であり、卒業生の約8割が私立出身だということを明らかにしている。これらの事実を考慮すれば、近年では私立通信制高校に対するニーズの高騰と、生徒層の若年化という現象が同時に生じていると指摘できる。では、これらの現象が生じる要因は一体何か。その一因として挙げられるのが、サポート校の存在である。サポート校とは、私立通信制高校に在籍する生徒の「登校」ニーズを満たしながら、彼らの高校卒業資格取得支援や進路支援を行う民間教育機関である。その在校生徒には高校中退経験者が多く、サポート校には彼らの「居場所」としての役割が期待されている。従来の研究上の文脈で言えば、高校中退は「脱学校」を意味し、その経験者は「脱学校」的な価値観を持つと解釈されてきた。しかし、高校中退を経験した彼らのうち数割は私立通信制高校に編入し、サポート校への「登校」を伴いながら高校生活を送っている。この現象は、生徒に焦点を当てれば、彼らを「脱学校」的な価値観を持つ存在だとする一元的解釈に対する妥当性の低下を示唆し、制度に焦点を当てれば、サポート校は「通信」教育と毎日の「登校」という、相対する教育現象を内包しつつそれを可能にする機関だということを示唆するものである。

 これらの事実を踏まえ、私は自身の研究を通じて、サポート校及びそこに通学する生徒に対する新たなまなざしを提供し、後期中等教育機関におけるサポート校の社会的機能を明らかにしたいと考える。そのためにも、今後は本学会に積極的に参加し、自らの研鑽を積んでいきたい。

(名古屋大学大学院:内田 康弘)

「日本通信教育学会報」(通巻40号)より