通信制大学における「三重学籍」実践のご報告

2017/07/20

 2013年11月16日開催の第61回研究協議会における「社会人の学びの場としての通信制大学院を考える」でパネリストとして招聘された際、「現在、短大、大学、大学院の三重学籍を実践中」とご報告させていただきました。結果として、2015年3月21日に通信制の「自由が丘産能短期大学」「放送大学」「放送大学大学院」から3つの学位記を受け取ることができましたのでご報告いたします。
 
もともとは、「たとえ通信制であったとしても、大学なんて忙しいから無理だよ!」って声に対抗するつもりで3つの教育機関に在籍してみたのですが、わずか2年間で3つの学位記を受け取ることができました。私なりに「限界に挑戦」してみたつもりですが、やればできることが判明しました。
 
「二重学籍禁止じゃないの?」と言われそうですが、法令上は禁止事項ではなく、各教育機関に確認及び許可を戴き、挑戦することができました。無論、正面から立ち向かっては、学習スケジュールに都合が付きやすいといわれる通信制大学であったとしても、最低限の在籍期間で3つの学位記を得ることは困難です。短大は2年次編入、大学は3年次編入かつ事前に科目履修生等で卒業に必要な単位を充足済、大学院は他大学院修了生として10単位認定といった特例をフルに活用したことで、三重学籍における同時学位記授与を実現することができました。
 
「無謀な挑戦」でしたが、やればできるということを証明してみたつもりです。それに、実際やってみると、どうしても学びたいという気持ちが勝り、複合的にいろいろなことを学習することができました。同時に、学びの限界は自分が思っている以上であることを確認することができました。しかし、これが「通学制」だったらどうでしょう。絶対に実現不可能な挑戦だったと思います。

(メガバンク行員:稲垣 諭
(「日本通信教育学会報」通巻45号より)