通信制高校と通信制大学

2020/03/30

 通信教育が若者支援にどれだけ貢献できているのか。この問いは、筆者が抱える大きなテーマの一つである。
 直近では、「大学等における修学の支援に関する法律」の制定による「修学支援新制度」において、大学通信教育も対象となり、多くの通信制大学が、その認定校となった。
このことを契機に、改めて筆者は、短期大学通信教育を含めた「大学通信教育」の役割を考え始めた。考えるにあたり、近年、本学会にて「通信制高校」に関する議論が活発であることを鑑みて、通信制高校に関する文献等にも触れる機会を増やした。本学会含めて、通信教育に関わる 議論が活発化していることは嬉しく思っている。
 その過程で、近年の通信制高校の生徒数と通信制大学の学生数に筆者は注目している。
 

 周知の事実でもあるが、近年、通信制高校の生徒数は新規開設校の影響等もあり増加しており、現在では、 およそ 16 人に 1 人の高校生が通信制高校に通学している状況である。一方で、通信制大学の総学生数は、微減傾向にあるが、 18 22 歳の学生数に着目すると増加傾向にあることがわかった。
 この理由について、仮説として、通信制高校を卒業した生徒が、通信制大学に入学しているのではないかと推察している。一方で、専門学校との併修制度による増加も推察されるが、通信制高校における学びを継続したいと考え、通信制大学に進学して欲しいという期待も含めた筆者の仮説でもある。
 いずれにしても、通信制高校を卒業生に対して、通信制大学がアプローチすることで、「通信教育」と言う学びの連続性が担保できるのではないかと改めて考えると共に、 この動向を注視していきたい。


(神奈川工科大学 寺尾謙)
(「日本通信教育学会報」通巻53巻より)